ソリダイムがSSDパッケージング技術においてイノベーションの基盤を推進する方法

Parking garage as metaphor for a 122TB SSD innovation for die, packages, and form factors.
Parking garage as metaphor for a 122TB SSD innovation for die, packages, and form factors.

SSDテクノロジーについて話題にする際、見過ごされがちなのは、SSDメディアパッケージがソリッドステート設計の進化に与える影響です。密度と容量の限界を克服するため、ソリダイムは、このメモリー上に超高層ビルを作るような基礎技術において、新境地を開きました。

現代の半導体設計では、基礎となる技術はしばしば見過ごされたり、当然のこととして受け止められています。しかし、容量とフォームファクターが進化するにつれ、ソリッドステート・ドライブ(SSD)の基盤の重要性がますます高まっています。 

業界が黎明期だった頃、SSDのデザインは、当時としては過剰設計だったと言う人もいますが、実にシンプルなものでした。しかし、業界が成長するにつれて、基盤となる技術にも進化が必要となりました。NAND技術の開発の影に隠れて目立たなかったSSDのパッケージングは、あらゆる点から当然のものと思われていました。 この固定観念をソリダイムは覆し、今では市場でのリーダーシップを確立する道筋を築き上げています。 

新たな高みへの土台を築く

なぜ今、パッケージング技術のニュースが取り上げられているのでしょうか? パッケージングの話題は、現代の高層ビルの設計によく似ています。つまり、単純に高さしか評価していません。その積み重ねられた構造や階層が、建物をとても印象的なものにし、場合によっては恐ろしささえ感じさせるのです。しかし、高さがある、最高のものである、あるいは一番である、といった偉業は、適切な基盤がなければどれも実現できません。SSDにおける基盤は、高さのあるダイのパッケージングの形状と、基板設計の基盤となるレイアウトから成り立っています。半導体業界における驚異的な技術的成果の達成は、まさにそれと類似しています。セントラルパークタワーが世界で最も高い住宅ビルとしてそびえ立つように、ソリダイムのエンジニアは、U.2フォームファクターで122TBという世界で最も高密度なSSDを開発しました。 

画期的なパッケージ設計によって、現在市場で最小かつ最も高密度のパッケージの開発に成功したのです。そのために必要だったものは、次のような技術革新でした: 

  • ダイのデザイン
  • ダイの薄さ
  • ダイの生産効率
  • ダイスタッキング
  • ワイヤボンディング
  • モールド樹脂設計

ご覧のとおり、これを実現するのは簡単なことではありませんでした。建物の設計と同じく、コンクリートを流し込む前に、電力、水道、ケーブルなどの重要な要素を配置する方法を見つけることに似ています。こんなにも多くの作業とイノベーションが必要であるにもかかわらず、しばしば当然のことと思われているのです。

高層ビルは、ダイパッケージングと、フォームファクターによるチップ製造技術の比喩としてよく使われます。

タイムズスクエアに立って、巨大な看板に映し出された122TB のソリダイム™ D5-P5336 SSDの美しい映像を見たら、その陰に隠された内部構造のことなど考えもせずに、その美しい箱に目を奪われるでしょう。セントラルパークタワーのように、建物の足元に立って見上げるような感覚です。素晴らしい地下室についてコメントしないのと同じように、SSDについて、その素晴らしい組み立てについて言及する人はほとんどいないでしょう。しかし、この素晴らしい技術は探求する価値があるものだと思います。

ソリダイム、タイムズスクエアをはじめとする各地で、世界最高密度のQLC SSD、122TB SSDを発表。

このイノベーションについて、いくつか見てみましょう。ダイ、パッケージ、フォームファクターという3つの部分に分けて説明します。 

1. ダイを使う

最初のイノベーションでは、人間の髪の毛の太さを基準にしていました。髪の毛は、積み重ねるアイテムよりも直径が大きいためです。現在では、ダイは加工され、積み重ねられ、人間の髪の毛に匹敵する大きさにパッケージングされています。

これをふまえると、最新の122TB SSDには、16個のダイを含む48個の固有なパッケージが含まれていることになります。パッケージ内の各ダイは、建物の比喩で言えば、建物の1階の高さに相当します。これを1.9mmの大きさの16階建ての建物(160フィート)として想像してみてください。これが原子レベルのスケーリングと設計です。ほとんどの現代的な建物が単に1階ずつ積み重ねられているのとは異なり、この建物は階段のようにずらして配置されており、外部との接続ができるよう片持ち梁ばり構造になっています。同じパッケージの高さで、24枚のダイ、さらには32枚のダイを使うなど積層化が進む中、この技術革新が課題の克服に貢献し続けています。32階建てのビルを16階建ての敷地に詰め込むことを想像してみてください。そこに高い天井を作るのは不可能です!現代の設計技術者でさえ、平均的な人の身長よりも低い空間で、より多くの階数を建設する方法を見出せていません。

2. パッケージを使う

2つ目のイノベーションは、パッケージそのものです。建物の基礎と同様に、多くの考慮事項や失敗の可能性が考えられます。積み重ねる前と後で、ダイ自体がすべてのテストに合格しているでしょうか? 例えば、100階建てのビルの10階がアクセス不能になった場合を想像してみてください。正に悲劇としか言いようがありません。エレベーターから降りることができず、自分の持ち物を取り出すことができません。内部に24個以上の異なるダイが入ったパッケージについても同様のことが言えます。それぞれのダイが、自分のデータにアクセスできなければならないのです。

そのためには、それらをすべてつなげる方法が必要です。ブロックを固定するようなイメージとは異なります。どちらかというと、先ほど話していた人間の髪の毛よりも細い接着剤を使って、1枚の表層の上に別の滑らかな表層を貼って作られているイメージです。次に、これらの24枚のダイをベース層、つまりパッケージの台座に純金を使って接続させます。 

接続できたら、この設計物を半導体コンクリートとも呼ばれるモールド樹脂で覆います。そしてそれを隅々まで行き渡らせなければなりません。コンクリート構造物における気泡の問題についてよくご存じでしょう。それと似た破壊的な影響が、半導体にも起きてしまうのを防ぐためです。  

3. フォームファクターを扱う

では、3つ目のイノベーション、パッケージをそのフォームファクターに詰める方法について説明します。これも、正確に設計されたスペースに可能な限り多くの容量を詰め込むことに成功した、ソリダイムチームメンバーのもう一つの技術的偉業です。この技術により、今日の122TB SSD ソリューションが完成しました。この技術の先には、将来の250TB以上の設計への道が開かれています。 

ソリダイムは、新しい業界標準への参画、寄付、開発を通じて、業界にまたがる独自のソリューションの創出をリードしてきました。当社では、お客様が市場で最も競争力があり、相互運用性に優れたストレージソリューションを活用できるよう、これからも努めて参ります。 

ソリダイムが将来のイノベーションに向けて基盤を築く方法

次世代のフォームファクターの出荷を開始するにあたり、ソリダイムがスペースを最大限に活用する最適な方法を開発したことは明らかです。お客様の成功は、当社のエンジニアやプランナーの情熱の原動力となります。その結果、当社のデータストレージの成長にさらなるイノベーションが起き、ソリダイムの業界におけるリーダーシップが確固たるものになっていきます。 

データストレージのパッケージに活用されている、AIで作成された超高層ビル

次に高層ビルを見上げたとき、自分の足下にこそ、現代世界における真の偉業があることを思い出してください。それは、建物の安定性と耐久性を支える堅固な基盤作りの取り組みです。今度皆さんがSSDをデータセンター、エッジプラットフォーム、またはそのSSDをデプロイした場所で見かけたときは、ラベルに「ソリダイム」と記載されているか確認してみてください。ソリダイムの製品であれば、そのドライブの基盤には、データセンターのSSD市場で実績のあるリーダーの豊富な専門知識、時間、エネルギー、設計が注ぎ込まれているので、安心してお使いください。


著者紹介

Scott Shadley(スコット・シャドレー)は、Solidigmのリーダーシップ・ナラティブ・ディレクター兼エバンジェリストであり、計算ストレージ、ストレージベースのAI、ポスト量子暗号を含む新しいストレージ技術の採用を促進する取り組みに注力しています。スコットは半導体とストレージ分野で25年以上の経験を持ち、エンジニアリングと顧客重視の役割の両方で重要な役割を果たしてきました。