AIファクトリーを従来のデータセンターと比較する

違いと類似点、およびAIが業界をいかに再定義しているかについての議論

従来のデータセンターと比較したAIファクトリー
従来のデータセンターと比較したAIファクトリー

AIインフラは、2つの明確に異なる運用モデルに分かれつつあります。一方は従来のデータセンターです。これは、多くのアプリケーションを高い信頼性、安全性、および費用対効果の下で実行できるよう最適化された汎用施設です。キャパシティプランニングにおいては、CPU使用率と物理的または仮想的な密度に重点が置かれます。

もう一方はAIファクトリーです。これは、データを産業規模で「インテリジェンス」に変えるよう設計されたAIネイティブな本番環境であり、効果的な推論を確実なものとするために、測定可能なスループットでモデルのトレーニング、ファインチューニング、そして提供を継続的に実行します。AIファクトリーにおいては、GPU時間、トークン・スループット、モデルのイテレーション速度、そしてデータパイプラインの効率性が重要な要素となります。AIファクトリーでは、ストレージはAI生産ラインにおいてパフォーマンス上極めて重要なステージとなっており、単なるリポジトリではなくなっています。

AIファクトリーをデータセンターと比較する

AIファクトリーについては、目的に特化したAIライフサイクル生産システムと考えると最もよく理解できます。NVIDIAの用語集では、AIファクトリーのことを、AIのライフサイクル全体を管理する専用のコンピューティングインフラと定義しています。1 ここでいうライフサイクルには、データの取り込みと準備から、学習、ファインチューニング、大規模推論までが含まれ、2 ここでの「製品」とは、単位時間あたりのトークン数、推論数、または成果として表現されるスループットによって測定されるインテリジェンスを指します。

データセンターとは、サーバー、ストレージシステム、ネットワーク機器、およびそれらを稼働させるために必要な電力、冷却、物理セキュリティといった補助システムを収容する汎用施設のことです。IEAはデータセンターについて、IT機器のラックと、その機器を継続的に機能させるために必要な補助的インフラを備えた施設であると説明しています。3

AIファクトリーもまた、データセンター内に見られるようなハードウェアや補助システムを備えています。では、実際のところ何が違うのでしょうか?

目的

  • データセンターは、多くのワークロードを予測可能な形で実行します。これらには、エンタープライズリソースプランニング(ERP)、ウェブサイト、仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)、データベース、アナリティクス、そしてAI関連アプリケーションのうちミッションクリティカルではないものが含まれる場合があります。
  • AIファクトリーは、焦点を絞ったAI出力を継続的に生成します。これらには、学習済みモデル、エンベディング、エージェント、レコメンデーション、予測などが含まれます。

主な制約

  • データセンター:信頼性、コスト、利用率、マルチテナンシー
  • AIファクトリー:DPUやGPUといった高価なアクセラレータにデータを供給し続けるための、エンドツーエンドのパイプラインスループット

意思決定に大きく影響する運用メトリクス

  • データセンター:稼働時間、レイテンシSLO、VM/コンテナあたりのコスト、電力使用効率
  • AIファクトリー:学習時間、ファインチューニング時間、トークン/秒、推論コスト(成果あたり)、GPUアイドル時間

有益なメンタルモデル:AIファクトリーはデータセンター内で稼働できますが、その動作は生産ラインに似ています。計算リソース、ネットワーク、そしてストレージの全体にわたって、より決定論的なパフォーマンスが求められます。これは、ボトルネックが発生するとGPUの稼働が滞り、コストの増大を招くためです。

AIファクトリーとは?

AIファクトリーとは、ハードウェア、ソフトウェア、および運用プロセスを統合したスタックであり、以下を実現できるよう設計されています。

  • 大量のデータ(多くの場合マルチモーダル)を取り込み、キュレーションする
  • モデルを繰り返し学習させファインチューニングする
  • モデルを大規模に提供する(バッチおよびリアルタイム推論)
  • 出力品質、ドリフト、ガバナンス、コストを測定する
  • 継続的にイテレーションを実行する(新たなデータ → 新たなモデルバージョン → 新たなデプロイメント)

重要な要素となるのは、AIファクトリーの出力が、特定のビジネスアプリケーションではなく、継続的に生成されるインテリジェンスであるという点です。これらは、レコメンデーション、分類、要約、アクター、またはエージェントである可能性があります。NVIDIAは、AIファクトリーについて、ライフサイクル全体を管理し、大規模な推論をスケーリングするものであると明確に定義しています。1

AIファクトリーが果たす役割とは?

AIファクトリーは、生データを、AIモデル、予測、意思決定、生成コンテンツといった学習済み出力へと変換します。AIファクトリーはデータパイプラインを本番インフラとして扱い、学習と推論を通じて出力を継続的に向上させます。モデルの品質がデータ品質の向上に基づいたものとなるよう、データに対してクレンジング、ステージング、変換、バージョン管理、検証が実行されます。

1. モデルのイテレーションを体系化する

「モデルプロジェクト」の代わりに、各タスクが先行タスクを積み重ねていく、一連のタスクが構築されます。その上で、エージェントによってこれを反復可能なプロセスにすることができます。

  • 予測可能なデータ更新の頻度(日次、週次、月次、その他)
  • ワークフローの自動トレーニングおよびファインチューニング
  • 精度と安全性を保ちつつ、バイアスやハルシネーションのリスクを最小化するための評価ゲート
  • デプロイメントステージでの本番移行、および必要に応じて元に戻すためのロールバックメカニズム
  • モデルドリフト4 および継続的なパフォーマンスに対する継続的な監視

2. アクセラレータの効率的な運用のため最適化が必要

数万ドルもの価値があるGPUやDPUがアイドル状態になると、すぐに多大なコスト損失となります。運用上の中心的な目標となるのは、アクセラレータの「バブルタイム」、すなわちGPUがデータ、同期、またはI/Oを待機しているアイドル期間を最小限に抑えることです。NVIDIAのAIエンタープライズ向けサイジングガイダンスでは、データを常にGPUの近くに配置しておくことで、ローカルNVMeストレージがストレージ面のボトルネックを解消し、トレーニングと推論のスループットを向上させることができると明確に示されています。5 

この「データパイプラインを十分に高速に保つことで、GPUを常にフル稼働状態にする」という1つの考え方こそが、AIファクトリーを標準的なデータセンターと比較した場合に、ストレージアーキテクチャをめぐる決定が劇的に異なるものとなっている理由です。6 NVMeストレージは今や、AIファクトリーのインフラおよび計算リソース戦略に不可欠な要素となっており、従来のデータセンター構築において二の次にされていたような存在ではなくなっています。詳しくは、当社の記事「 NVIDIA GTC 2026 が明確にした点:AI の次の飛躍はストレージにかかっている」をご覧ください。

AIファクトリーの構成要素

AIファクトリーはデータセンターと同じ多くの構成要素を共有していますが、AIのスループットに対応させる目的から、それらの選定や統合の方法が異なっています。

1. AI向けに最適化された計算リソースレイヤー

  • 学習・推論向けにサイジングされたGPU/アクセラレータノード
  • 前処理、オーケストレーション、データサービスをサポートする高コア数のCPU
  • ストールを最小限に抑えるよう設計されたメモリおよび相互接続(例:GPUへの効率的なデータ供給)

2. 高スループットのネットワークファブリック

  • サーバー間またはサーバーとキャッシュ間(いわゆる、East-West)の帯域幅を広く確保することが不可欠。ノード間の膨大な通信需要により、GPUクラスタ全体にわたって、この点が学習上の制約となることが少なくないためです。
  • 低遅延・高帯域幅の相互接続(一般的には、CPU依存を回避するためのRDMA対応ファブリック)
  • AIクラスタにおけるオーバーサブスクリプションを回避することに重点を置き、GPU間の継続的な全対全通信を可能にするアーキテクチャ

3. ストレージとデータパイプライン:エンタープライズAIの成否を左右することが多い構成要素

AIファクトリーでは、ストレージとメモリに階層型モデルを採用するのが一般的です。

  • ローカル NVMe:GPUノード上に配置し、ホットデータセット、シャッフル、キャッシングに使用して、リモートI/Oのストールを回避
  • 高密度SSD階層:大規模な学習データセット、特徴量ストア、ベクトルデータベース、およびチェックポイントリポジトリ向け
  • オブジェクトストレージと分散ストレージ:コールドデータ、リネージ、長期保存に使用

ここで、Solidigmが戦略的に重要な役割を果たします。データセットが拡大するにつれて、チームは消費電力、ラックの設置面積、運用オーバーヘッドを大幅に増やすことなく容量と密度を拡張していく必要があります。AIファクトリーにおけるストレージの詳細については、当社の記事「AI向けデータストレージにおけるCMX(コンテキストメモリeXtension)の概要」をご覧ください。

4. オーケストレーションとMLOps

  • パイプラインやジョブスケジューリングなどのワークフローエンジン
  • モデルレジストリおよびアーティファクト管理
  • 実験の追跡と自動評価
  • ポリシーによるデータガバナンスとモデル利用の管理

5.  セキュリティ、ガバナンス、およびコンプライアンス

  • データのアクセス制御および暗号化
  • モデルのアクセス制御(特に規制対象業界向け)
  • 学習データおよびモデルバージョンの監査証跡

従来のデータセンターが果たす役割とは?

データセンターは、デジタルサービスを支える基盤となる施設です。適切な物理的セキュリティ、パワコン、冷却、監視、運用体制を実現させ、信頼性の高い計算リソース、ストレージ、ネットワークを提供するために、データセンターは存在します。

IEAによる説明は単純明快です。データセンターには、ラックに設置されたサーバー、ストレージシステム、ネットワーク機器に加え、これらのシステムを継続稼働させるために必要な補助インフラが収容されています。3

こうした汎用的な機能こそ、データセンターがマルチテナント環境におけるワークロードの多様性に優れ、長期的な運用安定性を実現できる理由です。

AIデータセンターが果たす役割とは?

AIデータセンターは、AIモデルを大規模にトレーニングし、ファインチューニングし、展開し、実行するために必要なインフラと運用サービスを提供します。そのため、計算リソース、ストレージ、ネットワーキング、およびガバナンスが連携し合い、AIワークロードが高い信頼性、安全性、コスト効率の下に実行可能となる環境が確保されます。

この用語の2つの一般的な使われ方

  • 従来のアプリケーション(データベース、ウェブ、分析、VDI)と並行して、AIワークロードも実行しているデータセンター
  • 主にAIをサポートするように設計されたデータセンター。より高い電力密度、より高速なEast-Westネットワーキングや、アクセラレータへのデータ供給を維持するために最適化されたストレージ階層を備えています(動作の点では「AIファクトリー」により近い)
     

AIデータセンターの主要機能

  • 学習および/または推論クラスタをホストする(モデル開発および本番サービング提供用のGPU/アクセラレータノードで構成されるもの)
  • データ前処理および特徴量パイプラインをサポートする(学習および推論用に生データを準備するもの)
  • 大量のデータを保存する(ドキュメント、ログ、画像、動画、テレメトリに加え、チェックポイントやエンベディングといったモデルアーティファクトなども)
  • アプリケーションにモデルエンドポイントを提供する(社内用コパイロット、顧客向けAI機能、分析拡張など)
  • AI利用のためのガバナンス、可観測性、およびコスト抑制を管理する(アクセス制御、監査可能性、監視、ユニットエコノミクスを含む)

データセンターの構成要素

データセンターの中核をなす構成要素は、コンピューティングのワークロードを大規模かつ安全に、高い信頼性をもって実行するために必要なITシステム・施設インフラです。これらには、計算リソース、ストレージ、ネットワーキング、電力、冷却、物理的保護、運用管理などが含まれます。

1. サーバー

ラックマウント型のコンピュータが継続的に稼働し、リクエストの処理、アプリケーションのホスティング、ファイルの保存、データベースの実行を行います。CPU、アクセラレータ、メモリ、ストレージなどが搭載されている場合があります。

2. ストレージシステム

ストレージメディアは、サーバーによって実行されるすべてのプロセスのデータを保持し、ローカルストレージが容量不足になると計算リソースサーバーに接続されます。レイテンシに敏感な読み取り処理に対応でき、かつ高スループットが求められる場合には、Solidigm D7-PS1010のような高性能なNVMe SSDが最適です。ラック密度を最大化するとともに、消費電力を最小限に抑える必要があるデータセンターには、大容量のSolidigm D5-P5336 NVMe SSDが最適です。HDD、さらにはテープも含む、レガシーのストレージオプションも、コールドストレージとして活用できます。ストレージオプションの詳細については、当社の記事「ディスクドライブに最適のレガシー」をご覧ください。

3. ネットワーク機器

サーバー同士を相互に接続するのは、スイッチ、ルーター、イーサネット、および光ファイバーケーブルです。これらは、高帯域幅の接続を介してサーバーをインターネットにも接続します。ロードバランサーがトラフィックを管理して、リクエストが必ず均等に分散されるようにします。これらの機器は、データセンターの設計上、一般にラックの最上部に設置されます。

4. 電源システム

データセンターがすべてのシステムを稼働させ続けるために消費する電力量は膨大であり、この電力を途切れさせないことが不可欠です。実際、電力はデータセンターにとって最大の運用上の課題です。通常運用時には、変電所から商用電源を通じて電力が供給されます。しかし、データセンターの常時稼働を確実なものとするには、無停電電源装置(UPS)が不可欠の代替システムとなります。UPSは小規模なものでは本質的にバッテリーであり、停電が発生してもデータセンターの稼働を維持することができます。長期間の停電時には、ディーゼル発電機がさらなる電源冗長性をもたらします。

5.  冷却システム

冷却は、データセンターにとって2番目に大きな課題です。大別すると液冷と空冷に分けられますが、どちらの手法にも、多くのバリエーションや細かな違いが存在します。

空冷:ほとんどの空冷システムは、ファンを使用してサーバー内に冷気を送り込み、熱を室内に排出します。コンピュータ室用空調装置(CRAC)は二重床の下に冷気を送り込むのに対し、インロー型冷却ユニットはサーバー間に設置可能です。オーバーヘッド型冷却は二重床を不要とし、熱気を上方に吸い上げながら、冷気をラック内に下方から送り込みます。現在、空冷は中程度の密度の汎用エンタープライズラックに使用するのが最適です。

液冷:液冷環境において多くの人が思い描く標準的なシステムとなっているのは、デバイス筐体にコールドプレートを取り付けた直接液冷(DLC)、あるいはコールドプレートがシリコン部品に直接接触するチップ直接液冷(DTC)です。データセンターにおける液冷のその他の選択肢としては、液浸冷却、インロー型液冷、リアドア型熱交換器(RDHx)などが挙げられます。

ハイブリッド冷却:この手法は液冷と空冷を組み合わせるものであり、一部のラックが他よりも高密度である場合や、より集中的な冷却が必要とされる場合(AIポッドが環境の一部を構成している場合など)に使用されます。その代表例として挙げられるのは、GPUやCPUにはダイレクトDTC方式の液冷ソリューションを使用し、他方メモリやストレージコンポーネントの冷却にはサーバー内のファンを使用する構成です。

6. 物理的セキュリティ

アクセス制御、監視、オンサイトモニタリングにより、貴重なデータと知的財産、インフラを保護し、悪意のある攻撃者からの攻撃を防ぎます。また、規制上・コンプライアンス上の要件を満たすためにも不可欠です。

7. 火災検知・消火

早期検知および消火システムは、施設のリスク基準に適合している必要があります。これには、コンピュータコンポーネントが電気的短絡の危険に決してさらされないようにするための、非液体系の難燃剤も必要となる場合があります。

8. 監視と管理

これには、摩耗、アイドル時間、その他の運用指標を追跡するために、システムの各コンポーネントに組み込まれた機能が含まれます。また、データセンターインフラ管理(DCIM)ソフトウェア、可観測性ツール、アラート、インシデント対応、変更管理プロセスによる継続的な監視を含むことがあり、これらはインフラ投資の長期的な実行可能性と保護を確保するために組み込まれます。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

データセンターの稼働方式

データセンターの稼働は、IT機器に継続的かつ安定した電力と冷却を供給し、それらの機器を耐障害性の高いネットワークで接続した上で、厳格な監視と手順に基づき運用することで、アプリケーションが安全かつ確実に実行されるようにすることで維持されています。

データセンターの運用の基本的な流れ

  1. 電力を使用に適した信頼性の高い電気に変換する:商用電源が施設に引き込まれ、UPSシステムを通じて調整された後、配電ユニット(PDU)を通じて分配されます。また、障害発生時にもワークロードがオンライン状態を維持できるよう、発電機によるバックアップが可能となっています。
  2. システムの安定を維持するために熱を除去する:冷却インフラ(空気や液体)により熱負荷を管理して、サーバーとストレージが安全な許容範囲内で稼働できるようにします。
  3. 接続性をエンドツーエンドで提供する:ネットワークファブリックにより、施設内のシステム間(East-West)を接続するとともに、それらのシステムを外部(North-South)へと接続して、冗長性とパフォーマンス制御を実現します。
  4. 運用を通じて信頼性とセキュリティを完全に維持する:各チームがパフォーマンスを監視し、アラートに対応し、パッチや変更を管理し、物理的制御とサイバー制御を実施し、インシデント対応の準備態勢を維持します。
  5. 容量計画によりシステムの持続可能性を確保する:インフラを継続的に評価し、冗長性目標を詳しく検討し、コスト効率を見直します。利用率を調整し、変化し続けるニーズに対応するための成長分を考慮したパフォーマンスの余力に照らしてバランスが取れるようにします。

AIファクトリーとデータセンターの主な違い

AIファクトリーと従来のデータセンターは、基盤となるインフラを共有していますが、目的、アーキテクチャ、および運用指標の点では大きく異なります。特に、AIワークロードがパフォーマンス、コスト、およびスケーリングに関する意思決定の主要な推進要因になると、両者の違いは顕著なものとなります。

1. 設計の焦点:スループットと汎用的な信頼性

  • データセンター:幅広いワークロードの組み合わせに対応できるよう最適化
  • AIファクトリー:エンドツーエンドのAIスループット(データ → 計算リソース → モデルアーティファクト → 推論)に最適化

2. ストレージの役割:容量リポジトリと生産ステージ

従来型の環境では、多くの場合、ストレージのサイズは容量、耐障害性、およびコストを基準に決定されます。

AIファクトリーにおいて、ストレージは多くの場合、以下のような役割を果たします。

  • GPUにデータを供給するパフォーマンスNVMe階層
  • AI推論処理の過程で生成されたKVキャッシュのオフロードと再利用のために設計された専用ストレージ プラットフォーム (CMX)
  • 大規模データセットをサポートする高密度データレイク階層
  • 再起動と再現性を可能にする高速なチェックポイントおよびアーティファクトストア

NVIDIAのサイジングガイダンスでは、NVMeローカルストレージがボトルネックを解消し、GPUがデータに可能な限り高速にアクセスできるようその負荷を軽減することが強調されています。1 これはまさに「ファクトリー」的な考え方です。NVMeストレージは、生産を継続させるために存在します。

3. スケーリングの制約:スペースと利用率と電力と発熱

データセンターのインフラは電力を大量に消費します。そのため、以下の点を踏まえた意思決定が求められます。

  • より高効率な設計
  • 電力利用率の重視
  • 多様な冷却戦略
  • 1TBあたり、より高密度で、より電力効率に優れたNVMeストレージ

4. 運用モデル:ITサービス管理と生産運用

AIファクトリーは以下のように、製造業のように機能します。

  • 投入要素:データ、演算サイクル、学習レシピ
  • 出力:測定可能なスループットを備えたインテリジェンス
  • 品質管理:評価、監視、ドリフト追跡

5.  経済性:VMあたりのコストとトークン/成果あたりのコスト

AIの導入が進むにつれ、経営層の議論はユニットエコノミクスへと移行しています。具体的には以下のような点です。

  • 推論あたりのコスト
  • 1,000トークンあたりのコスト
  • 「解決されたケース」または「チケット作成回避ケース」あたりのコスト
  • モデル更新サイクルあたりのコスト

ストレージに関する意思決定が測定可能な影響をもたらす場合があるのは、ここです。I/Oストールを回避してGPUのアイドル時間を削減できれば、同じ GPUフリートでより多くの出力を生み出せます。

データセンターの課題(および、それがAIによって深刻化する理由)

AIは単に「ワークロードを増やす」だけではありません。施設に、そして運用の前提条件に負荷をかけます。

1. 電力供給能力が制約要因となる

送電網の容量と地域の許認可が、AIインフラの拡張先にできる場所を決定づける要因として、ますます重要になっています。公開されている報告書や予測では、データセンターの成長が電力需要の増大と結びつくことが繰り返し指摘されています。

2. 冷却の複雑化が増す

GPUインフラやラック密度の増加に伴う、ラックあたりの電力需要の増大により、チームは以下の対応を迫られています。

  • ホットアイル封じ込めの成熟化(または改修)
  • 液冷対応
  • より詳細なエアフローおよび温度監視

3. ストレージ性能のボトルネックが顕在化する

従来の環境では、ストレージのレイテンシの急上昇がボトルネックとなっていました。

AI学習において、ストレージのストールはGPUのアイドル時間に直結します。そのため、アーキテクチャでは、計算リソースに近い場所にNVMe階層を配置することがより一層重視されるようになっています。詳細については、当社の記事「AIがメモリ不足に陥るとき」をご覧ください。

4. ネットワークのオーバーサブスクリプションが「見えない税金」となる

AIクラスタは常に通信を行っており、ダウンタイムは限られています。East-West帯域幅に制約があると、学習速度の低下、推論レイテンシの不安定化、さらには運用の複雑化を招きます。

5.  組織的な摩擦(結果を左右する非技術的な課題)

AIには、データサイエンス、プラットフォームエンジニアリング、セキュリティ、法務、プロダクトなど、かつてないほど多くのステークホルダーの関与が求められます。運用モデル(「ファクトリー」という考え方)がなければ、チームは終わりのない引き継ぎを余儀なくされ、さらには脆弱でその場しのぎの構築に終始してしまいます。

まとめ

「AIファクトリー」と「データセンター」という区別は、単なる言葉の意味の問題ではありません。これは、ロジスティクスと、より大規模なスケールプランニングの枠組みの問題に帰着するものです。

  • データセンターとは、強力なガバナンスと運用上の成熟度を備え、多くのワークロードを確実に実行するために構築された汎用施設のことです。
  • AIファクトリーとは、AIのライフサイクル全体に向けて最適化された生産システムであり、その出力は測定可能なインテリジェンスで、主な目的となっているのは、データの取り込みから学習、そして大規模な推論に至るまでのパイプラインのスループットです。

企業のリーダーにとって実践的な教訓となるのは、AIを単なる別のワークロードのように扱うことはできないということです。そのように扱ってしまうと、電力制約、冷却限界、ネットワーク接続、ストレージのボトルネックといった、データセンターで発生することが予測しうる問題を悪化させ、高価なGPUのアイドル時間を生じさせる可能性が高くなります。

しかし、AIファクトリーという考え方を取り入れれば、パイプラインの設計を通じて、計算リソースの生産性を保ち、NVMeストレージを戦略的な加速要因とすることができます。ここで、Solidigmの大容量SSD と高密度階層が、はっきりと分かる運用上のメリットをもたらすことができます。AIデータセットおよびサービスを拡張でき、他方、その拡張に伴って複雑さを同様の割合で増大させるようなことはないのです。

よくある質問

AIファクトリーとは、データの取り込みから学習、展開までの統合されたライフサイクルを活用して、データをAI出力、モデル、推論へと大規模に変換するための専用環境のことです。

正確には異なります。AIデータセンターは単に AIワークロードを実行する施設であるのに対し、AIファクトリーとは、エンドツーエンドのスループットと継続的なイテレーションに向けて最適化された、生産スタイルの運用モデルのことを意味します。

これらは、RAGナレッジアシスタント、セキュリティ分析、パーソナライゼーション、産業用AI、およびドキュメント自動化に使用されています。AIモデルの学習、ファインチューニング、あるいはエンタープライズデータに近い場所での提供が必要なあらゆる場面で使用されているのです。

一般に、AIデータセンターの方が、ラック密度が高く、East-West方向のネットワーキングが拡張されているほか、冷却要件が厳しく、パフォーマンスに対するストレージ階層の反応性が高いため、GPUやDPUのようなアクセラレータがデータ待ち状態になることはありません。

データセンターは、電力を調整、分配し、冷却システムを通じて熱を除去し、ネットワーク経由で各システムを接続し、運用プロセスに基づいて信頼性とセキュリティを確保します。

ストレージスループットは、GPUの利用率に直接影響します。データの転送速度が十分に高速でない場合、アクセラレータはアイドル状態となり、AIコストが増加する形になります。そのため、ストレージのボトルネックを解消できるよう、ローカルNVMeが特に使用されるケースがよく見られます。

アクセラレータの継続的な使用により熱が発生するため、まず電力と冷却の点で変化します。これらに続いて、East-West(サーバー間またはサーバーとストレージ間)の帯域幅のためのネットワークファブリックが変更され、その後、ストレージアーキテクチャが変更されます。GPUを使用するには、より多くのNVMe階層と高密度のSSDラックがどうしても必要になります。

電力制約、サーマルホットスポット、ネットワークのオーバーサブスクリプション、ストレージのボトルネック、そしてチーム間の組織的な摩擦が、最もよく発生する障害状況です。

Solidigmは、AIファクトリー規模での展開を可能にする、お客様に合わせてカスタマイズされた製品ロードマップを提供するパフォーマンス重視のNVMe SSDを製造しています。製品ラインアップには、液冷ソリューションや、世界で最も多く使用されている大容量ドライブ(122.88TBのNVMe SSD。今後さらに大容量の製品もリリース予定)などがあります。

まずは、AIライフサイクル(データ取り込み → 学習 → 展開)をエンドツーエンドでマッピングし、その上で、スループットを考慮した設計を行います。そして、計算リソースに近い場所にNVMe階層を加え、データガバナンスとMLOpsパイプラインを標準化し、推論あたりのコストやトークンあたりのコストといったユニットエコノミクス指標を採用します。


著者紹介

Scott Shadley(スコット・シャドレー)は、Solidigm(ソリダイム)のリーダーシップ・ナラティブ・ディレクター兼エバンジェリストであり、計算ストレージ、ストレージベースのAI、ポスト量子暗号を含む新しいストレージ技術の採用を促進する取り組みに注力しています。スコットは半導体とストレージ分野で25年以上の経験を持ち、エンジニアリングと顧客重視の役割の両方で重要な役割を果たしてきました。

セシリー・ホワイトサイドは、Solidigmの検索・コンテンツ担当マネージャーです。彼女は、テクノロジー、ライフスタイル、健康・ウェルネス関連のウェブサイトや出版物に掲載する記事を執筆しています。セシリーはこれまで、米国内外のいくつかの雑誌で編集責任者を務めたことがあるほか、他の雑誌にもライターとして寄稿してきました。

  1. What Is an AI Factory?(AIファクトリーとは?)[https://www.nvidia.com/en-us/glossary/ai-factory/]
  2. https://www.solidigm.com/solution-hub/artificial-intelligence.html
  3. https://www.iea.org/reports/energy-and-ai/energy-demand-from-ai
  4. モデルドリフトはモデル劣化(model decay/model degradation)とも呼ばれます。[https://www.splunk.com/en_us/blog/learn/model-drift.html]
  5. https://docs.nvidia.com/ai-enterprise/planning-resource/ai-factory-white-paper/latest/ecosystem-architecture.html#nvidia-certified-storage
  6. https://www.solidigm.com/products/technology/nividia-gtc-26-takeaways.html
  7. https://www.databricks.com/resources/ebook/the-big-book-of-mlops