AI Field Day 8:SolidigmがAIインフラの基盤としてのストレージの重要性を提唱

AIインフラをめぐる議論になると、その話題の中心はGPUになりがちです。2026年5月14日にカリフォルニア州サンノゼでライブ収録された AI Field Day 8において、Solidigmはこれまで以上に緊急性の高いメッセージを携えてディスカッションテーブルに戻ってきました。ストレージはもはや、計算リソースのサイジングが終わった後に後付けで追加するようなものではなくなっています。それは、「デイゼロ」における設計上の決定事項であり、レイテンシ、スループット、推論品質、消費電力、そして最終的にはAIを大規模に運用する際の経済性を方向付けるものです。

AIソリューション・ソフトウェア担当シニアプリンシパルエンジニアのカピル・カルクラと、AIインフラマーケティング・戦略担当ディレクターのスコット・シャドリーが主導した3つのプレゼンテーションを通じて、Solidigmは参加者に、単一のAIプロンプトのライフサイクルから、インテリジェンスそのものを測定するための新しいフレームワーク、そのすべてを可能にする物理的なハードウェアのイノベーションに至るまでを解説しました。各セッションをまとめた概要は以下のとおりです。

1. Solidigmによるプロンプトの構造分析

オープニングセッションでは、カピル・カルクラが単一のユーザープロンプトを紐解き、瞬時に返ってくるように感じられる応答の背後にどれほどのストレージが関わっているのかを明らかにします。スコット・シャドリーも加わり、このセッションでは、ストレージを「LLMに入力されるあらゆるプロンプトの陰の組み立て役」として捉え直し、その上で、AIアーキテクトが実際に重視する指標を分解して見ていきます。

このトピックを扱ったジェフ・ハーソーンによる当社のホワイトペーパー「 Anatomy of a Prompt」はこちらからお読みください。

本セクションで取り上げている項目:

  • トークンの増幅:AIエージェントがドメインルール、取得済みコンテキスト、ツール定義、セッション履歴を組み込んでいくと、小さなユーザープロンプトが数万トークンにまで膨れ上がります。この包括的なプロンプトを組み立てるのがストレージです。
  • 「初回トークン到達時間」の分解:応答性の主要指標は、プロンプトの組み立て、ネットワーク伝送、プロバイダーのキューイング、そしてGPU負荷の高いプリフィルおよびデコードフェーズに分解することができます。
  • 計算リソースを読み取りに変える:コンテキストの安定した部分をキャッシュすることで、ストレージはGPUによる再計算に伴う高額なO(n²)のコストを、はるかに高速なO(n)の読み取りへと変換し、GPUサイクルを解放して消費電力を削減します。
  • 2つのワークロード、2つのストレージプロファイル:RAGでは小規模なランダム読み取りにおいて優れたP99/P99.9テールレイテンシが求められますが、他方、KVキャッシュオフロードは大規模ブロック読み取り向けに帯域幅重視となります。

2. Solidigmによるメモリ階層を通じたインテリジェンスのスケーリング

カピル・カルクラが再び登壇し、ある刺激的な問いを投げかけます。もしメモリ容量が、モデルサイズや純粋な生の計算リソースと並ぶ、AIインテリジェンスにおける第3の軸であるとしたら、どうなるでしょうか? 本セッションでは、測定フレームワークを紹介するとともに、GPUの枠を超えるメモリの拡張が、パフォーマンスと推論の質それ自体の両方をいかにして変革するかを示すベンチマークデータを示すことで、その有効性を裏付けます。

本セクションで取り上げている項目:

  • 「CRAFT」フレームワーク:SolidigmはAIインテリジェンスを、「理解力(Comprehension)」「想起力(Recall)」「適応力(Adaptability)」「流暢さ(Fluency)」、「粘り強さ(Tenacity)」という5つの次元で定義し、各次元に対してメモリ容量が与える影響を測定しています。
  • スケーリングの軸としての容量:HBMからシステムのDRAMおよびNVMe SSDへとメモリを拡張することで、推論効率が向上し、コストのかかる再コンピューティングを防ぐことができます。
  • 推論にはスクラッチ領域が必要:AIME 2024の数学テスト(粘り強さ)では、出力トークンの容量を増やしたところ、モデルによる熟考の時間が延び、スコアも伸びました。これは、ストレージ容量が回答の質に直結していることを示しています。
  • 劇的で測定可能な成果:KVキャッシュをNVMeに拡張することで、スループットが最大4倍、トークン間レイテンシが21倍向上し、「干し草の山の中の針(needle in a haystack)」理解力テストの読み取りは最大78倍高速化しました。
  • 階層化されたメモリ体系:HBM、DRAM、およびNVMeの全体にわたる自動キャッシングにより、GPUのストールを回避でき、組織はより大規模で、複数のエージェントが関与し、長いコンテキストを扱うワークロードにおいて、パフォーマンスの水準をコストに照らしてバランス調整することが可能になります。

3. SolidigmによるAIに最適化されたSSD・ハードウェアソリューション

クロージングセッションでは、スコット・シャドリーが議論の焦点をアーキテクチャから物理ドライブへと移し、現在どのデータセンターも直面している電力、サステナビリティ、フットプリントといった極めて現実的な制約事項について語りました。スコットはストレージを美味しいピザの「生地」にたとえる印象的な比喩を使いながら、既存のシステムに単にバイト数を追加しただけでは、それをAI戦略と呼ぶことはできないと主張しました。

本セクションで取り上げている項目: 

  • エンドツーエンドのストレージ階層:HBMおよびDRAM(G1、G2)から、ローカルNVMe(G2.5、G3)、インラックのDPU主導型NVMe(G3.5)、そしてネットワーク接続型 NVMeおよびハードドライブ(G4)に至る包括的なマップ。その全体を通してNVMeの採用が極めて重要です。
  • 現実世界のインフラ制約:電力の確保、サステナビリティに関する指針、そして物理的な設置スペースの制約が、現在、AIインフラの構築における決定的な課題となっています。
  • 液冷技術の革新:液冷式のE1.SフォームファクタSSDは、最適な統合を実現すべく NVIDIAなどのパートナーと共同設計されたものであり、消費電力を大幅に低減し、優れた熱管理を実現します。
  • 単なる型番ではないエコシステム:性能キャッシュから耐久性に優れた大容量ストレージまでを網羅するポートフォリオ。画一的な販売手法によるのではなく、お客様との直接的なコンサルティングを通じて、ワークロードに合致するようにマッチングされます。

まとめ

AI Field Day 8で行われた3つのセッションでの議論をまとめてみると、1つの物語が浮かび上がります。それは、より優れた、より高速で、より低コストなAIを実現する道は、ストレージ層をまっすぐに通っているという物語です。単一のプロンプトから、メモリを通じてインテリジェンスをスケーリングする新しいフレームワーク、さらには高密度なAI導入を可能にする液冷式ハードウェアまでの全過程において、Solidigmは、AIインフラの「縁の下の力持ち」が、開発の最初の段階から設計の議論において取り上げられるべき存在であることを実例によって明らかにしました。