NVMe のエコシステムは拡大を続け、フォームファクター、消費電力、コスト、容量、セキュリティー、管理とあらゆる形でイノベーションを推進しています。実際、2020年から 2025年にかけて NVMe 市場は 29.7% の年間平均成長率で拡大すると予測されています。これとは反対に、2011年に NVMe が登場して以降、SATA の市場シェアは徐々に縮小し、2026年までには 10% を下回ると見られています。SATA の最後の主要な改訂版 SATA 3.0 がリリースされてからすでに約 10 年半が経過し、それも比較的微細な修正にとどまりました。当然ながら SATA SSD は過去のものになりつつあり、拡大するエコシステムに必要なメリットが不十分と言わざるをえません。切り替えるかどうかではなく、いつ切り替えるかが問題新しいストレージ・テクノロジーや最新の機能のメリットとパフォーマンスをソフトウェアとハードウェアの両方でフルに引き出すには、インフラストラクチャーを最新に維持する必要があります。これを考えると、SATA から NVMe インターフェイスへの移行は、重要というだけではなく、避けられない必然的なものです。問題は、切り換えるかどうかでなく、いつ切り替えるかです。このような移行を計画する際、コストは主要な決定要因となります。ソリダイムが提供する NVMe ベースの 3D NAND QLC SSD は、密度とパフォーマンスの向上に加え、実質的なコスト優位性をもたらすため、コストが最重視される導入ケースにも適応します。SATA から NVMe へ移行することで、相互接続のボトルネックが排除され、容量拡大と同時に、パフォーマンスの向上も可能になります。ソリダイムの QLC SSD には顧客の導入環境をモダナイズする柔軟性があり、実装フットプリントを変える必要なく、アプリケーションを高速化し、これまで以上に多くのアプリケーションを運用できるようになります。NVMe に備わるパフォーマンスの拡張性下の表は、帯域幅と IOPS で見た SATA のパフォーマンス範囲と、NVME PCIe Gen3 のパフォーマンスを比較したものです。NVMe エコシステムを活用するユーザーの多くはすでに PCIe Gen4 へ切り替えを完了、一部のユーザーは PCIe Gen5 への移行を進めています。この表から明確に分かるとおり、NVMe SSD は PCIe Gen3 速度の比較的低いパフォーマンス基準でも、SATA 仕様の上限を容易に上回るパフォーマンスを示しています。NVMe のパフォーマンスについては、ソリダイム™ P5430 (容量 3.84TB) を基準としました。大容量と PCIe Gen4 の速度が組み合わさり、この性能差をさらに広げています。リード帯域幅 7GB/s の NVMe PCIe Gen4 SSD の場合、ドライブ 1 台で最大 12 台の SATA SSD に相当するリード性能を実現します。これにより容量とパフォーマンスを調整できる柔軟な実装が可能になり、フットプリントを大幅に縮小しながら要件を満たすことができます。インターフェイス速度の比較だけでも、リード性能が 5 倍を上回り、全体的なパフォーマンスの向上が見て取れます。ソリダイムの QLC 3D NAND SSD は、パフォーマンス、密度、コストのバランスの取れた、改良インターフェイスへの移行機会を提供します。
SATA のインターコネクト速度は、960GB で上限に達します。SATA のドライブ容量を 960GB から 7.68TB まで増やしたとしても、パフォーマンスは向上しません。これは、960GB 容量の SATA ドライブでは SATA の 6Gb/s インターフェイスをフルに使い切ってしまうためです。ドライブの容量を追加しても、コストが高くなるだけでパフォーマンスは向上せず、結果的に容量 GB 当たりのパフォーマンスは低下します。SATA のフォームファクターは HDD からの進化の産物であり、容量と冷却の最適化の点では NVMe ソリッドステート・ドライブほど効率的ではないということです。物理的なスペースが懸念事項になり始めている導入環境の場合、NVMe は最適な選択肢となります。フォームファクターのイノベーションにより、パフォーマンスを低下させることなく実装フットプリントを縮小することが可能です。導入事例: SATA RAID 1 から NVME RAID 10 への移行比較的高速の RAID パフォーマンスと、ドライブ障害による運用停止を防ぐ冗長性を求める顧客には、RAID 1 と RAID 10 が最適な選択肢です。現在 RAID 10 構成の SATA ドライブを使用している場合、RAID 1 で容量の大きい NVMe ドライブへ切り替えることにより、RAID アレイのドライブ数を削減し、同等以上のパフォーマンスを確保しながら、使用可能な容量を変えることなく保持できます。ソリダイムが公開している事例では、SATA から NVMe への移行を小規模で達成できる 1 つの方法を示しています。この例は、最小容量でもパフォーマンスの向上を実証しているケースです。ソリダイム™ D5-P5430 のような大容量かつ高密度の3D NAND QLC SSD は、パフォーマンスと容量の拡張とともに、総保有コスト (TCO) の低減を実現します。SATA HW RAID から NVMe HW RAID へ切り替えることで、拡張性、管理性、信頼性が向上し、NVMe エコシステムが提供するさまざまなメリットを活用することができます。RAID ベンダーは NVMe エコシステムへの移行の動向を認識しており、トライモード HBA や高性能 RAID ソリューションといった、NVMe デバイスを補完するソリューションの開発が進められています。
ソリダイムの QLC ドライブは、価値に最適化した競争優位な価格帯で提供されているため、ソリダイム™ D5-P5430 のようなコストを抑えた NVMe QLC ドライブに切り替えることで、リード性能の向上に加え、総保有コスト (TCO) の削減も期待できます。
RAID 環境における総保有コスト (TCO) とリード性能の優位性を証明するために、4 台の 1.92TB S4520 SATA TLC ドライブ (RAID 10 構成) と 2 台の 3.84TB D5-P5430 NVMe ドライブ (RAID 1 構成) を使用しテストを実施しました。フレキシブル I/O (FIO) テスターを使用し、RAID アレイの帯域幅と IOPS を測定。RAID 10 構成では SAS/SATA RAID HBA を、RAID 1 構成ではトライモード RAID HBA を使用しています。テスト構成については、以下をご覧ください。
このテスト結果から、移行により RAID の使用容量を同等に維持しながらリード帯域幅を倍増、25% の TCO 削減が示されています。移行することで、最適なストライプサイズを選択する複雑さを回避することもでき、その結果、ミラーリングされた RAID を介しさまざまなアプリケーションで基盤の QLC NVMe SSD パフォーマンスをフル活用することができます。
この 10 年の間にデータ量はかつてないほど増大し、大容量のデータストアからデータへの高速アクセスを求めるニーズはますます高まっています。データストアは拡大し続け、パフォーマンス要件を満たしながら、この需要に応えるインターフェイスの必要性は高まるばかりです。SATA はパフォーマンスと容量に限界があり、ストレージにおけるこの新たなパラダイムに対する有力な競合製品にはなりえません。NVMe は、進化とイノベーションのエコシステムの拡大により、こうしたソリューションにとって最適な選択肢となっています。
D5-P5430、D5-P5336 など、ソリダイムの QLC SSD 製品に関する詳細情報はこちらをご覧ください。
Sarika Mehta は、ストレージ業界で 15 年以上のキャリアを持つ、ストレージ・ソリューション・アーキテクトです。ソリダイムの顧客やパートナー企業との緊密な連携を通じ、コストとパフォーマンスを両立するストレージ・ソリューションの最適化に注力しています。