「データストレージに 20% もの過剰なコストをかけている可能性がある」などと指摘されたら、どのように思うでしょうか。「そんなはずはない」と否定するかもしれませんが、社内のインフラストラクチャーにぴったりと適合する容量の SSD を選択していなかったとしたら、決してあり得ない話ではありません。 IT 部門がワークロードの特性に基づいてアレイに最適なデータストレージを選択する方法を完全には理解していないこともよくあります。同様に、ストレージ・アーキテクトの多くが最悪のシナリオに備えてインフラストラクチャーを設計するのがデフォルトです。 しかし最近はワークロードが目まぐるしく変化し、大半がますますリード処理中心になっています。実際 Usenix のデータから、ほとんどの企業ワークロードはリード処理が 94%、ライト処理がわずか 6% の比率であることが分かりました。[1] では、現在運用中のワークロード要件を満たすには、どのようにデータストレージを選択するべきでしょうか。これについては後ほど、実際のアプリケーションを例に深く掘り下げていきます。 まずは SSD にどのような変化が起こっているのか見てみましょう。 変化するストレージのニーズに応える新しいフォームファクター 一般的に見て、企業は複数タイプが混在するワークロードを運用することが多く、1 タイプのワークロードに限定されるわけではありません。アプリケーションが異なれば、パフォーマンスと耐久性の要件も違い、場合によってはフォームファクターを変えるなど、さまざまなプロファイルが必要となります。運用中のアプリケーションに合わせ最適化を行う際には、ストレージ要件を再検討して容量の変更が必要になる場合が大半です。「ワンサイズであらゆる要件に対応」できる SSD の時代は終わりました。 パフォーマンスと耐久性の多様なプロファイルを取りそろえた SSD を提供するストレージベンダーならば、短期的にも長期的にも IT マネージャーが的確な「総保有コスト (TCO)」 の意思決定をできるようにサポートします。 既存のインフラストラクチャーを保持したい場合でも、U.2 の容量ポイントが拡張され、高密度ストレージにも対応できるようになりました。また、ストレージ・インフラストラクチャーの完全なモダナイゼーションを予定している場合、業界ではエンタープライズ & データセンター・フォームファクター (EDSFF) 規格の採用が年々広まっています。 これらの新しいフォームファクターには、E1.S、E1.L、E3.S のバリエーションがあります。 容量の範囲は 7.68TB から 30.72TB と幅広く、30.72TB は現在市販されている PCIe QLC ドライブで最大の容量です。 E1.L SSD では、U.2 と比較して 1U ラックの前面に 3 倍以上の密度を実装できます。また、保守性とスペース効率の向上によるメリットも得ることができます。設計上 ESDFF はエアフローに優れ、レガシーのフォームファクターよりも発熱量が少なく、電力コストの削減にもつながります。
超高密度ながらも手ごろな価格で大容量を提供するソリダイムの SSD は、サーバーに必要とされる同等のストレージ容量を少ないドライブ数とラック台数で実現できるため、パフォーマンスの向上と TCO の削減が可能になります。そればかりか、消費電力、冷却、保守も軽減されます。 2010年代に SSD がデータセンターに導入されるようになった当初、ドライブの動作もワークロードの要件も、現在ほど理解されてはいませんでした。後になって分かったことですが、ストレージ・アーキテクトは SSD 容量の要件を過剰に見積る傾向があったようです。このことは、以前出荷されていた SSD と現在出荷されている SSD の平均的な耐久性レベルを比較すると明らかに分かります。現在データセンター向けに出荷されている SSD の約 85% は 1 DWPD 以上の耐久性を備え、3 DWPD 以上のものよりも低コストで現在のアプリケーション要件を満たすことができます。[1] このように適切な容量が選択されるようになったのは、ワークロードとドライブの動作についての理解が以前よりも深まったためです。SSD の耐久性については、膨大な量のサンプルを検証した調査から、99% のシステムは耐用年数を迎えるまでにドライブを最大でも 15% しか使用していないという結果が示されました。[2] 結論を言うと、QLC SSD は、かつて考えられていたほど急速には消耗しません。繰り返しになりますが、ワークロードによっては、データストレージに過剰なコストをかけていることもありえます。 手ごろな価格でサステナブルな SSD: 実際のアプリケーション 手ごろな価格のストレージは、長期間使用できるサステナブルなストレージでもあるという点は、期待できる情報なのではないでしょうか。コンテンツ配信ネットワーク (CDN) としても知られる大規模な国際的ストリーミング・サービスの例を見てみましょう。このサービスの開発チームは、パフォーマンスの向上と容量の拡大を要件としていました。データサーバーに SSD を実装したことにより、次のようなメリットを実現しています。 1. 物理的なフットプリントを大幅に縮小 この世界トップのコンテンツ配信ネットワーク・プロバイダーは、HDD と TLC SSD のハイブリッド・ストレージ・ソリューションから、オール QLC のミッドティア・ソリューションへの移行を決定。これによりサーバーの実装面積を 4.9 分の 1 に縮小できることが分かりました。 [3] HDD と TLC NAND SSD に置き換わる代替としてソリダイムの QLC SSD を採用したことで、コストを抑えながらストレージのモダナイゼーションを実現し、オンデマンドのコンテンツ配信サービスを充実させています。 TLC NAND SSD と同等、HDD よりはるかに高いリード性能を持つソリダイムの QLC 3D NAND SSD によって、ストレージ・アーキテクトは TCO を削減し、効率的にコンテンツを拡張して、より多くのユーザーにコンテンツを提供する配信サービスの設計が可能になりました。 2. 全体的な物理的重量を低減 QLC ストレージが実現する物理的フットプリントの縮小と、キログラム当たり GB の拡大は、データセンターの設計に大きな影響を与え、複数段階にわたるデータセンターの設計における重要性がますます高まりました。 3. 全体的な消費電力の削減 ストレージの高密度化とサーバー実装面積の縮小により、総合的な消費電力コストが約 4% 削減されました。[3] これはインフラストラクチャーの規模に応じた極めて大きな節約となり、消費電力とコストの削減において、この CDN に多大なメリットをもたらしています。 4. 冷却能力の向上 高密度の SSD によって、導入するサーバー台数を削減することができ、冷却効率の高い環境の実現につながります。前述のとおり、EDSFF フォームファクターはエアフロー効率を目的に設計されており、さらなるコスト節減が可能になります。 5. 耐用年数を迎えた後の廃棄を効率化 ストレージの高密度化により、同じミッドティアに位置する CDN ソリューションで廃棄または耐用年数を迎えて廃棄に至るドライブの数は 3.5 分の 1 に減少しています。[3] まとめ 高密度かつ高性能のデータストレージを導入することで、物理的なフットプリントを縮小し、全体的な TCO を削減できます。ソリダイムの QLC SSD ならば、パフォーマンスを優先するためにコストを妥協することも、あるいは容量を優先してパフォーマンスを犠牲にする必要もありません。QLC SSDなら、すべてを享受できます。 このトピックの詳細については、ソリダイムのセールスディレクターであるアレクセイ・ロガチコフ氏が登壇した最近のCloudFestの基調講演をご覧ください。 ソリダイムの QLC SSD 製品を詳しく見る
[1] Forward Insights Datacenter、2019年5月。データセンター向け耐久性 1 DWPD 以下 SSD 製品の世界全体での 2020年 ~ 2023年出荷数予測。
[2] エンタープライズ・ストレージとして導入された 140 万台の SSD 製品を対象としたトロント大学による調査。「A Study of SSD Reliability in Large Scale Enterprise Storage Deployments」、https://www.usenix.org/conference/fast20/presentation/maneas
[3] ソリダイム。「Solution requirements: A mid-tier CDN solution delivering BOTH 480TB of total capacity and 190 Gbps throughput per node」出典 - ソリダイム。https://www.intel.com/content/dam/www/central-libraries/us/en/documents/replace-legacy-storage-in-cdn-with-qlc-ssd-brief.pdf。 ソリューション構成の詳細については、付録 A を参照してください。