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公開 August 13, 2023

著者 Solidigm Team

記事

CSAL ベースのリファレンス・ストレージ・プラットフォーム

ストレージ・ソリューションの設計に使用するオープンソースのビルディング・ブロックは、組み立てるのも使うのも難しい、コンポーネントの複雑な組み合わせです。この複雑さが迅速なソリューション開発、評価、導入を妨げる要因になっていることも少なくありません。ソリダイムはこの問題を解消するために、インテル、StarWind をはじめ、業界パートナーとストレージ・パフォーマンス開発キット (SPDK) コミュニティーとの協業を通じ、リファレンス・ストレージ・プラットフォームを開発しました。このプラットフォームは、業界全体のコラボレーションを促進し、ゾーン名前空間 (ZNS) やフレキシブル・データ配置 (FDP) など、現在開発中のテクノロジーの評価と採用が円滑に進むようにします。

Solidigm CSAL partner logos for Intel, StarWind Hyperconvergence, and SPDK

ソリダイムがインテル、StarWind をはじめ、業界パートナーとストレージ・パフォーマンス開発キット (SPDK) コミュニティーとの協業により開発した、総保有コスト (TCO) を抑えながらも同等のパフォーマンスを維持できる CSAL リファレンス・ストレージ・プラットフォームについて、その開発の経緯に触れて詳しく説明します。ソリューション概要をダウンロード、または以下のパラグラフを読み進めてください。

 

リファレンス・プラットフォームでは、SPDK とクラウドストレージ高速化レイヤー (CSAL) で構成されるオープンソースのソフトウェア・スタックとペアで動く汎用サーバーを、ホストベースのフラッシュ転換レイヤー (FTL) として使用します。このソリューション概要では、総保有コスト (TCO) の削減など、新しくリリースされた容量 61.44TB のクアッドレベル・セル (QLC) SSD であるソリダイム™ D5-P5336 の高密度ストレージがもたらすメリットを実証するために、ソリダイムがこのリファレンス・プラットフォームをどのように使用したかを説明しています。リファレンス・ストレージ・プラットフォームのメリットリファレンス・ストレージ・プラットフォームは、拡張性と高性能を特長とするオープン・プラットフォームです。高密度 QLC、インフラストラクチャー・プロセシング・ユニット (IPU)、データ配置テクノロジーなどを活用して、ハードウェア・ベンダーやソフトウェア・ベンダーによるイノベーションを加速します。さらに、このプラットフォームによって、フル実装のソリューション・インターフェイスを介し、システム・インテグレーターやエンドユーザーがこうしたイノベーション技術をシームレスに評価 / 採用することもできます。プラットフォーム・ベンダーと独立系ソフトウェア・ベンダー (ISV) は、このオープンソースのプラットフォームに付加価値を加え機能拡張することで、独自のアプライアンスやソリューションの構築が可能になります。CSAL が実現するソリューションCSAL ホストベースの FTL により、ソリダイムの高密度 QLC SSD は混合ワークロードへも適用範囲が広がります。これを可能にするのが、CSAL の 4 つの主要機能です。1. ライト・シェーピングによる SSD/DRAM のフットプリント縮小ソリダイムの超密度 SSD は、TLC に匹敵するリード性能を維持したまま、DRAM のコスト削減を図ります。CSAL は、間接ユニット (IU) のサイズに合った新しいデータ配置インターフェイスにライト処理を成形することで、混合ワークロードに TCO の優位性をもたらします。2. 容量拡張とパフォーマンス利用率向上のためのプーリングCSAL によって、大容量 SSD を複数のクラウド・アプリケーション / テナントで共有できるようになるため、容量拡張とパフォーマンス使用率の向上につながります。3. RAID によるデータ保護と信頼性の強化CSAL で開発中のフルストライプ RAID5 実装では、従来の RAID5 よりもデータ保護と信頼性の確保における効率が 2 倍向上します。4. マルチテナント環境で発生する書き込み増幅の低減混合データの配置は、マルチテナントのクラウド環境で過剰な書き込み増幅を発生させる要因となることがあります。現在 CSAL でのデータ配置テクノロジーの統合を開発中です。データ配置の最適化、書き込みの集約、入出力 (I/O) 操作のスケジューリングにより、マルチテナントの真の分離と QLC のパフォーマンスと耐久性の向上を CSAL が実現します。ソリダイムの QLC SSD を使用しプラットフォームのテストを実施密度の向上により、大きな影響力のある TCO の優位性につながりました。例えば Alibaba では、HDD ベースのビッグデータ処理用ローカルディスク・インスタンス 第 2 世代 (D2C) ローカルディスク・ストレージ・ノードを、ビッグデータ処理用ローカルディスク・インスタンスの第 3 世代ノード内でソリダイム™ D5-P5316 QLC SSD に置き換えることにより、D2C と比較してパフォーマンスと密度が 2 倍向上することを確認しました。[ii] 容量 61.44TB の D5-P5336 QLC SSD はこの流れを受け継ぎ、D5-P5316 の 4 倍の密度を実現することで、設備投資額 (CapEx) を抑えて TCO を 2 分の 1 に削減したほか、データセンターのフットプリント縮小と、それに伴うメンテナンス担当者や関連機器、ケーブル、電力の必要性の低減という成果をあげています。[1]1テスト構成ソリダイムでは新しい最高密度 QLC SSD の客観的評価にリファレンス・プラットフォームを採用。ソリダイムの TLC ドライブを 10 台搭載した CSAL を実装しないシステムと、3x SLC + 7x QLC 構成 (ソリダイムの第 1 世代 SLC SSD 容量 800GB を3 台、容量 61.44TB の D5-P5336 SSD 7 台を容量層として使用) の CSAL 実装システムを比較しました。リード / ライト比 70対30の 4K ワークロードを実行し、100Gbps ネットワークの使用率 80% を達成しています。CSAL は、SLC SSD をキャッシュ / ライト・バッファーとして使用し、書き込みワークロードをシーケンシャル・ライトへ成形する、効率的なシェーピングを可能にします (図 1 を参照)。

Graphic showing cloud storage acceleration layer (CSAL) architecture in D5-P5336 QLC SSDs, 1st gen SLC, and DRAM SSDs

図1. CSAL アーキテクチャー

どちらの構成も、期待するネットワーク使用率を達成しました。TLC SSD が本来のレベルよりも高い性能を発揮する一方で、ネットワークのボトルネックによって余剰の帯域幅が未使用のままになり、実質的に両方の構成でパフォーマンスが同等という結果となっています (表 1 参照)。

Table showing the results from D7-P5220 TLC SSD vs SLC-QLC combination for comparable performance

表1. CSAL テスト結果の比較

ソリダイムは、D5-P5336 高密度 QLC SSD がもたらす TCO の優位性を数値化するために、社内モデルを開発しました。表 2 に示す概要比較から、D5-P5336 QLC SSD が TLC 構成よりも TCO を 35% 低く抑えながら同等のパフォーマンスを実現することが分かります。

Table showing the results from D7-P5220 TLC SSD vs SLC-QLC combination for lowered total cost of operation

表2. CSAL の総保有コスト (TCO) の優位性で見た比較

ソリダイムはプラットフォーム・ベンダーとエンドユーザーに、アプライアンスやソリューションの実装にリファレンス・ストレージ・プラットフォームを採用するよう推奨しています。ストレージ業界のイノベーション企業は、リファレンス・プラットフォームを基盤に開発を進めることで、強固なプラットフォームを確保し、新しいストレージ・ソリューションを短期間で構築、評価、公開できるようになります。

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参考資料として、ホワイトペーパー「Achieving Optimal Performance and Endurance on Course IU SSDs」を提供しています。ぜひご活用ください。

 

[1] ソリダイムの社内分析に基づく。

[2] インテル。「A Media-Aware Cloud Storage Acceleration Layer (CSAL) Cache Solution with Intel® Optane™ SSDs for Alibaba ECS Local Disk D3C Service」2023年1月。http://www.intel.com/content/www/us/en/content-details/765062/a-media-aware-cloud-storage-acceleration-layer-csal-cache-solution-with-intel-optane-ssds-for-alibabaecs-local-disk-d3c-service.html (英語)。注: このソリューション概要で記載しているインテル® プラットフォームのストレージ構成の一部として、ソリダイム™ D5-P5316 を使用しています。ソリダイムのテクノロジーを使用するには、対応したハードウェア、ソフトウェア、またはサービスの有効化が必要となる場合があります。 絶対的なセキュリティを提供できる製品またはコンポーネントはありません。 実際のコストや結果は異なる場合があります。 実際の性能は使用状況、構成、その他の要因によって異なります。 その他の社名、製品名などは、一般に各社の表示、商標または登録商標です。ソリダイムが開示している法的通知および免責条項の全文をご覧ください。 ソリダイムは人権を尊重し、人権侵害の発生を回避するよう尽力しています。 ソリダイムの製品およびソフトウェアは、国際的に認められている人権を侵害しない、または侵害の原因とならないアプリケーションにのみ使用されることを目的としています。 ソリダイムは、サードパーティーのデータについて管理や監査を行っていません。ほかの情報も参考にしてデータの正確さを評価してください。Solidigm、ソリダイム、Solidigm ロゴは、SK hynix NAND Product Solutions Corp. (米国における商号: Solidigm) の商標です。Intel、インテル、Intel ロゴ、その他のインテルの名称やロゴは、Intel Corporation またはその子会社の商標です。その他の社名、製品名などは、一般に各社の表示、商標または登録商標です。©2023 Solidigm. 無断での引用、転載を禁じます。

 

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