データセンターのストレージ容量は、クラウド内のアプリケーションのデータ負荷やリード負荷がより高くなるにつれ、2年ごとに倍増しています。この増加に伴い、一般的なサーバー・プラットフォームのストレージのコストは、材料費の請求額の3分の1以上を占めることもあります。ドイツのEuropa-Parkで開催されたCloudFestイベントで、ソリダイムのセールス担当ディレクターであるアレクセイ・ロガチコフは基調講演を行い、「クラウドストレージを改善するためにできる3つの方法」について解説しました。
アレクセイは、SSDストレージの選択を「適正にサイジング」し、古いテクノロジーを新しいものに置き換える機会を探求することを推奨しました。また、ソリダイムのデータセンターSSDにより、より優れた価値、パフォーマンス、密度を実現する方法についても説明しています。議論された内容のいくつかを以下に紹介します。
高密度で高性能なデータストレージの導入については、「混合ワークロード・アプリケーション向けのEDSFFが、コストの削減にどう役立つのか」の記事をお読みください。
主催者: 次のセッションは、「クラウドストレージを改善するためにできる3つの方法」です。 解説はソリダイムのアレクセイ・ロガチコフ氏です。「ソリダイム」、で合っていますか?どうぞ、アレクセイさん。正しい発音の仕方を教えてください。
アレクセイ: ありがとう、ジェフさん。こんにちは、CloudFest。 ここに来られて嬉しいです。
私はソリダイムのアレクセイです。まず最初にお話したいことはこちらです。「ソリディグウム」と発音してしまいそうになりますが、実は「ソリッド」と「パラダイム」の組み合わせです。 ですから、実際には「ソリダイム」なのです。
さて、すでにソリダイムをご存じの皆さん、当社は新しいストレージ会社です。 しかし、まだ当社をご存じでない方のために、簡単な紹介をさせていただきます。
ソリダイムは、2021年末にSKハイニックスがインテルのNANDおよびSSD (ソリッドステート・ドライブ) 事業を買収し、設立された会社です。本社はカリフォルニア州サンノゼにあります。
当社は、インテルの元従業員、外部の重要な人材、およびSKハイニクスの専門知識の融合からなる、業界最高のエンジニア、問題解決者、リーダーで構成されています。私たちの目標は、最適化されたストレージ・ソリューションの頼りになるパートナーになることです。 これで、当社がどんな人々で構成され、何をしているかを簡単に理解していただければ幸いです。
では、本題に移りましょう。
毎日、たくさんのデータが生成されていますよね。 このCloudFestイベントの参加者の皆さんすべてが、アクティブなインターネット・ユーザーであることは確かです。
私たちは、46億人と大多数存在するアクティブなインターネット・ユーザーの一部であり、毎日約1,000PB (ペタバイト) のデータを生成しています。
私たちは、1日に合計で約3,000億通の電子メールを送信しています。 約1,000億のWhatsAppメッセージを交換しています。1日に約260億回、天気予報を確認しています。ものすごい数です。
オンライン動画 (YouTubeのみ) に関しては、毎日約10億時間のYouTube動画を閲覧しており、これは約50億本の動画に相当します。
私にとって、オンライン動画は、主に教育の源となりました。例えば、特定のソフトウェアがどのように機能するか、またはどのようなソフトウェアのコツを使用することができるかを理解するため。あるいは、ブラックホールが何かを理解するためかもしれません。そうでしょう?
データの洪水に加えて、新しくてより洗練されたワークロードやツールが登場しています。
先週は、AIサービスの発表という点でかなり充実した一週間でした。ChatGPT-4が発表されたことについて、お聞きになっているかもしれませんね。Midjourney 5も公開されました。
もちろん、これらのモデルをトレーニングするためには、多くのサンプルデータが必要です。 しかし、さらに重要なのは、もう1つの側面です。
新しいChatGPT-4をチェックしようとした際、実は運が悪く、サービスがフル稼働中でした。人生の意味について、あるいはプレゼンテーションをもう少し魅力的にする方法について、質問することはできませんでした。ただ単に、利用できなかったのです。
これは何を意味するのでしょうか?多くのユーザーがこれらの洗練されたツールを意欲的に使用しており、さらに多くのデータが生成されていることになります。だからこそ、今後3年から5年の間に何が起こるかが非常に興味深いのです。 非常に驚くべきことです。
ストレージに関して言えば、今日そして将来のストレージは、これらの大量のデータを管理できるはずです。
なぜこれが重要なのでしょうか? これによって、価値、容量、パフォーマンスの向上を実現できるからです。
私の後ろには、これから取り上げようとしている3つの実行可能なステップが表示されています。最初のステップを見てみましょう。
あなたが現在SSDを使用しているクラウド企業であるならば、ストレージのニーズという面で、実は過剰に購入していると確信しています。
なぜなのでしょうか?簡単に説明します。
私たちは、ここでも、そして日常の業務でも多くのお客様と話をして、ビジネスを行っています。そして分かったことは、これらのお客様の大部分が、その内部および外部の顧客両方によってどのようなワークロードが使用されているのかについて、ほとんど理解していないか、限られた洞察しか有していないということです。
同時に、ワークロードの状況も大きく変化しています。 今日私たちが目にするほとんどのワークロードは、リード処理中心です。 同時に、彼らのインフラストラクチャーは、最悪のシナリオ向けに設計されており、混合ワークロードやライト処理中心のアプリケーションになるであろうと考えられています。
しかし、当社の調査によると、90%以上のお客様は、実際には95%のワークロードはリード処理中心だと述べています。
もし現在のワークロードがこういったもので、それに対する理解が不十分であるとしたら、むしろ実際には効率を向上するチャンスなのです。
どうやって向上させるのでしょうか?SSDによって、または密度を増加させることで、GB (ギガバイト) あたりのコストを削減できます。そしてこれがまさに、ソリダイムのSSDのバリューシリーズを設計した理由です。 これらは、容量に関して、より優れた価値と高密度を実現するように設計されています。
次に、2つ目を見てみましょう。そしてこれが、皆さんが今日SSDストレージを過剰に購入しているかもしれない主な理由です。
最初のデータセンター向けSSDが、2010年頃に導入され始めた時、これらのドライブの動作とワークロードは、あまり理解されていませんでした。
私は初めてエンタープライズSSDを手にしたときのことを覚えています。 それは、SLC (シングルレベル・セル) と呼ばれるテクノロジーで設計されたドライブでした。 これは、SSDの各シングルセルが、「1」あるいは「0」の1ビットの情報を保存できることを意味します。 そして、これらのドライブの耐久性は、1日当たり約40回のドライブ書き込み (DWPD) でした。40回もです。
時間が経つにつれて、ストレージ・アーキテクトが考慮したものに関して、耐久性への要求は徐々に減少しました。 40回から10回へ、そして5回へとゆっくり移行しました。そして現在、1日に3回または1回のドライブ書き込みで落ち着いています。
これはかなり良い進化ですよね。そして、この遡及的視点から、これらのワークロードとドライブの動作が、現在うまく理解されるようになりました。そのため、ドライブはよりスマートになりつつあります。データを内部でインテリジェントに管理できます。
これは、当社がファームウェアに組み込んだインテリジェンスです。
実際、今日出荷されるデータセンター向けSSDの約85%が、1日当たり1回以下のドライブ書き込みの耐久性を有すると考えています。
統計的に大量のデータで得られた大規模なサンプルに基づくこの研究によると、これらのドライブの99%が、ライフサイクルの終了までに、最大15%の定格寿命しか使用されないことが示されています。
これは、効率を向上するチャンス、および節約のチャンスがあることを意味します。
2009年に初めて手にしたデータセンター・ドライブについて言及しましたが、このSSDの最大容量は64GBでした。
今私が手にしているのは、当社の既存のモデルです。ご覧の通り、これにはまだインテルのロゴがついており、実際にはクアッドレベル・セル・テクノロジー (QLC) を搭載したQLCドライブです。 これは、各セルが実際4ビットの情報を保存できることを意味します。これは、前述した最初のドライブの4倍です。そして、このドライブの容量は、実際30TB (テラバイト) です。 30TBですよ。
しかし実は、今年後半にソリダイムのロゴが貼られた、このドライブの後継モデルを紹介する予定なんです。 しかし、もっと重要なのは、容量が2倍の60TBになることです。 60です。今年中に提供を開始します。これは大量のデータです。
実に大量です。 また、これらのドライブは、かってそうであったように、すぐには消耗しないだけの十分な耐久性を備えていることを強調します。
多くの皆さんが、CloudFestアプリをダウンロードしたかと思いますが、私もそうです。そのため、人々、つまり参加者が共有するフィードについて調べたところ、興味深いことに多くの方がCloudFestに参加した年数を共有していることが分かりました。
おそらく、CloudFestの運営部にとっては、人々がCloudFestに5回、6回と参加していることを目にできて、非常に喜ばしいことだと思います。実際に、このイベントに11年間も参加しているという人も目にしました。非常に忠実なリピーターですよね。
昨年CloudFestに参加した勇気ある人々は、パンデミック後の最初のCloudFest 2022の主要トピックが「サステナブルなクラウド」だったことを覚えているでしょう。
幸運にも、私はその観客になる機会に恵まれました。セッションを聞いたり、パネルディスカッションに参加したり、参加者と会話したりしました。そして、基本的に、多くのクラウド専門家、顧客、業界、規制当局、およびコミュニティにとって、サステナビリティが重要なトピックであることが明らかになりました。
そしてまた、それは大きな投資であることも意味します。これは、サプライチェーンの理解、ハードウェア・プロバイダーの炭素排出量の理解、サプライチェーンの再設計、内部プロセスの再設計に対する大きな投資なのです。
また、登壇者の1人が、サステナビリティ上の理由から、より長期にわたって複数のユーザーが使用できるよう、シャーシの再設計を行っていると話していたことも覚えています。
しかし同時に、良いニュースは、クラウドストレージに関しては、より安価なストレージがよりサステナブルでもあるということです。その非常に具体的な例を紹介します。
私たちは、コンテンツ配信ネットワークを提供する米国ベースのクラウドサービス・プロバイダー (CSP) であるお客様の1つと提携しました。 彼らは、メインストリームSSDのような3レベルセル (TLC) の組み合わせと、統合ソリューションとして使用していたHDD (ハードディスク・ドライブ) という既存のソリューションのアップグレードを考えていました。
彼らと提携した際、ソリダイムのバリューシリーズSSDが代替品になる可能性があることが分かりました。このプロジェクトは、結果として4.9倍という大幅な設置面積の削減につながりました。 ほぼ5倍です。
また彼らは、管理するサーバーが少ないという理由から、大幅な重量の削減においてもメリットを享受しました。 4.6倍という大幅な電力削減もありましたので、これは実際、電力コストの増加の中で、検討すべき重要なトピックだと言えます。
管理するサーバーがはるかに少ない場合は、コストをかける機会も少なくなり、サーバーを冷却して熱を放散したり、データセンターから撤去する際の労力も少なくて済みます。そして、ライフサイクルの終了時に関しては、管理するサーバーが少ないために、処理する必要のあるサーバー数が3.6倍も大幅に減少しました。
しかし、これはかなり遠い場所にある話ですよね。米国ベースの話でしたから。では、私たちにより近い場所にある実例をもう1つ挙げましょう。
私たちは現在、ヨーロッパに本社を置くクラウドサービス・プロバイダーと提携していますが、彼らは世界中で運営しています。私たちは彼らに、ソリダイムのバリューシリーズSSDを評価してもらう機会に恵まれました。 実際、これはこのドライブの姉妹品ですが、容量は小さく、15TBです。
彼らはそれを昨年末に受け取り、今年の初めに、初期テストの結果を共有してくれました。彼らは、古いSSDドライブを使用する古いソリューションを置き換え、世界中に設置した10ラックごとに、ソリダイムのD5-P5316 15TBドライブを搭載した単一のラックサーバーに置き換えることを検討していると言いました。これは、統合比率が10:1という点で、10倍という大幅な削減になることは間違いありません。
同時に、彼らは約6倍のパフォーマンスの向上を確認していました。これが、以前と比較して非常に大きな改善である理由です。そしてまた、設置面積、サーバーの数、重量の削減、電力削減に関して、すべてがうまく機能しています。 これが、彼らがを正式導入を検討している主な理由の1つです。
これらの数字について、近いうちにより具体的な詳細を共有できることを願っています。これは、現在進行中のプロジェクトですが、初期の結果は非常に有望なものです。 このような理由で、ソリダイムのバリューシリーズSSDという安価なストレージが、よりサステナブルなストレージになりえるのです。
前述したように、私たちの最終的な目標は、最適化されたデータストレージ・ソリューションの頼りになるパートナーになることです。 私たちは常に皆さんの役に立ちたいと考えており、これが、当社がCloudFestに来た理由です。
私たちと話をしたいという場合は、ブース番号「F05」にいらしてください。お客様が現在使用しているもの、そしてコスト削減のための改善の機会について、ぜひお話ししましょう。ぜひお越しの上、実行されているワークロードの種類についてお知らせください。
インサイトが不足している場合は、ワークロードの実際の要件と、与えられたタスク向けにSSDを最適化する方法について理解することができる、非常に使いやすいツールをご紹介します。このツールは当社のブースで使用しています。非常に可視性に優れた、使い易いツールです。ぜひ、お越しの上ご確認ください。
もう1つの持続可能性については、皆さんの目標や将来を見据えた目標について、そして当社がその達成をどのようにサポートできるのかについて説明させていただきたいと思います。私たちは、皆さん1人ひとりにとって、頼りになるストレージ・パートナーになりたいと考えています。そのためには、当社のポートフォリオは幅広くなくてはいけません。お客様は皆さまざまな企業を代表しており、要件も希望も異なるからです。
このため、最適なサイズ、ベストなSKU、フォームファクター、必要な容量や耐久性のプロファイルを理解するのは非常に困難な作業になります。 私達にお任せください。どうぞお問い合わせください。お客様のニーズに最適にカスタマイズした理想的なソリューションを見つけるために、最善を尽くします。
ご清聴、ありがとうございました。本日のご参加、ありがとうございます。CloudFestに参加でき、大変嬉しく、非常に興奮しています。皆さんにブース「F5」でお会いできることを楽しみにしています。
ホスト: アレクセイさん、どうもありがとうございました。 お訊きしたいのですが、潜在的なお客様向けのコスト効率について言及されましたね。具体的にどれくらい削減できるか伺ってもよろしいでしょうか?
アレクセイ: まずは、話を聞いていただき、ありがとうございます。 具体的な数値を言いますと、ソリダイムのバリューシリーズSSDでは、メインストリームのソリューションと比較して、約15 ~ 20%の節約が可能です。期待できる具体的な数値といえば、これになります。
ホスト: わかりました。 素晴らしいですね。そして、年内には60TBのモデルが発表されることもお話しされました。そんな製品を用意しているという事実に非常に驚きました。
アレクセイ: これからです。
ホスト: お時間ありがとうございました。ステージにご参加いただき、ありがとうございます。
アレクセイ: 光栄です。残りのセッションもお楽しみください。ありがとうございます。