円の直径に対する円周の長さの比率を表す無理数「円周率」と、その無限に並ぶ数字列は、何世紀にもわたり世界中の関心を集め、そして競争の的となってきました。今年初め、Storage Review が円周率 100 兆桁計算の世界記録に乗り出し、数台のソリダイム™ D5-P5316 SSD を使用して、わずかなコストで 2022年に Google Cloud が達成したこれまでの記録を破り、この偉業を成功させています。
Storage Review は、Google が打ち出した 158 日という驚異的な記録を目にし、時間とコストの両方で記録を破るには、数多くの最先端コンポーネントを総動員する必要があると考えました。そこで Storage Review が新コンピューティング・システムの構築に集めたのは以下のとおりです。
円周率 1 桁 = 1 バイト。これがデータセンターの設計に Storage Reviewチームが出した単純な式でした。つまり、100 兆桁の小数点演算に 100TB、ここに 83 兆桁の 16 進数演算に要する 83TB を足せばいいということです。
Storage Review’sチームは、y-cruncher の最適パフォーマンスを確実に引き出すために、連動するディスクに直接 I/O 制御をできるようにしました。Supermicro ストレージサーバーに iSCSI ターゲットを使用してすべての出力ファイルを格納し、これを可能にしています。
またチームは、安定した電源と防御コンポーネントを追加することで、バッテリー駆動で 4 ~ 8 時間のランタイムを確保。これはステロイドで増強した無停電電源装置 (UPS) のようなもので、チームの言葉を借りると、(実際に何度か発生した) 停電時にも「円周率の計算が続行していると分かっているから、安心して眠りにつくことができる」仕組みを作り出しました。
結論を言うと、Storage Review は世界記録を達成しています。とはいえ、この超高速の記録的な偉業でさえ、短距離走というよりはマラソンのようなものでした。最終的な記録は次のとおりです。
y-cruncher のスワップモードを活用 — これがストレージドライブを使用した計算の実行を可能にした要因であり、Storage Review はその記録破りのシステムを、複数の SSD ドライブを並列で動かすように設計し、最高の結果を達成しました。y-cruncher のスワップモードは、19 ドライブの RAID 0 構成に使用され、選ばれた NVMe ドライブへの直接 I/O アクセスを可能にし、最適パフォーマンスを引き出しています。
選ばれた NVMe ドライブとは、並列で動く 19 台のソリダイム™ D5-P5316 QLC SSD (30.72TB) です。D5-P5316 は、144 層の QLC NVMe フラッシュメモリーを備え、シーケンシャル・リード最大 7GB/s、シーケンシャル・ライト最大 3.6GB/s の速度により、Storage Review が認めた「卓越したパフォーマンス」を実現します。
記録更新中、D5-P5316 はその卓越したパフォーマンスをフルに発揮し、最高クラスのライト速度と、そのスピードに相応する耐久性を示しました。
「この 54.5 日間の計算実行中、全ドライブで合計 33,127,095GB の書き込み、つまりドライブ 1 台当たり約 1,742,500GB の書き込みが実行されました。これを実行期間 1 日当たりに換算すると、1 日でドライブ 1 台当たり 29TB 強となります。" – Storage Review、Jordan Ranous 氏
Storage Review が言及しているとおり、この圧倒的な数字はそこで止まることはありません。D5-P5316 の耐用年数にわたる耐久性は、ランダム・ワークロードで 22.9 PBW、シーケンシャル・ワークロードで 104.6 PBW となっています。さらに、記録を破る円周率計算は「極めてシーケンシャルに実行」されており、これは D5-P5316 が同様のワークロードに対応できる可能性があることを意味しています。Storage Review は結論を次のように締めくくっています。
「D5-P5316 は耐用期間の終わりを迎えるまで、同様のワークロードを対象にほぼ 10 年間稼動できることを意味しています。これが QLC NAND で、ドライブの保証期間が 5 年間だということを考えると、控えめに言っても非常に魅力的な製品です」
詳細については、Jordan Ranous 氏による Storage Review の記事全文をお読みください。